「お菓子をくれなきゃ悪戯するわよ!」
満面の笑みのメリーには綺麗に包装されたお菓子を差し出した。
「Trick or Treat」=「お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ」つまり、今日はハロウィーンである。
「うわぁー有り難う。すっごく可愛くて美味しそう!」
「そう?良かった」
あまりにも無邪気に笑うメリーに悪いとは思いつつ、は妹のような少女だと思ってしまった。
後から「まるでメリーはの妹みたいだわ」とマリンが笑ったときには、思わず頷いてしまうそうなくらいだった。
「がお姉ちゃんなら私文句無しよ!」
「はいはい。もう授業へ向かわないと遅刻しちゃうわ。
いくらハロウィーンとは言っても先生達は遅刻を許してくれたりはしないわよ?」
「わかってるよ・・・・」
頬を膨らませるメリーに苦笑しながらクリスは「それじゃあ、減点されない為にも行きましょ」と腕に抱えた教科書を抱えなおした。
メリーはローブのポケットにから貰ったお菓子を丁寧にしまい、クリスの後を追った。
とマリンも顔を見合わせ、軽く微笑み合いクリスに続いて談話室を出て行った。
授業が終わり、談話室へ戻る途中のこと。
「私は図書館へ行くよ」
「あ、そう?さっそく宿題にとりかかるの?」
「そう。先に終わらせておきたいから」
「のそういうところ見習わなきゃいけないんでしょうけど・・・・私には無理」
肩を竦めて見せるクリスに、「私も〜」とメリーは力なく言葉を吐いた。
そんな二人には「ちゃんと期限を守れてるんだから自分のペースで良いんだよ」と笑ってみせた。
二人はそうだけどと苦い表情ををしてみせた。
そんな二人と横で微笑んでいるマリンを残し、は図書館へ向かった。
「隣、良いですか?」
今日はハロウィーン。好き好んで図書館へ来る人間は多くは無い。
つまり図書室はガランとしており、誰かと相席する必要なんてあるはずが無い。
そうであるはずなのに、隣に座ろうとする人物が居ることに少年は眉間の皺を一層深くして本から視線を外した。
相手の顔を見てやろう。いや、睨みつけてやろうと思いその人物を見たはずなのに無駄に終わった。
「勝手にしろ」
顔どころか上半身すらほとんど見えない相手に、無愛想に言った。
そんな無愛想に対して機嫌を悪くする様子も見せず、相手は「有り難う御座います」とだけ言って机の上に上半身を隠すほど高く積まれた本の山をドサリと置いた。
その思っていたよりも大きな振動に、一瞬だけ少年は顔を顰めたものの次の瞬間には興味も無さそうに本へと視線を戻した。
「ごめんなさい。相席なんて御免だろうけど、量が量なだけに近くが良かったもので・・・
邪魔するつもりは無いから、私のことは居ないものと思って下さい」
は椅子に座ると、そう言って一番高い位置にある本へ手を伸ばした。
目の前の少年は、本から視線を外すことも言葉に反応することも無かった。
は集中するのが早いタイプなのだろうと一人納得して、自分のやるべきことに取り掛かった。
ふと気付けば図書館は前にもまして人気が無くなっていた。
いつの間にか室内は蝋燭で照らされており、そろそろ夕食の時間だろうと思い本を閉じ席を立とうとした。
そのとき僕は目の前に人がいることに気が付いた。
ムッと眉根を寄せたが、そう言えば勝手にしろと許可したのを思い出し表情を少しだけ緩めた。
目の前の少女は、未だ本に集中しているようで僕の動きに気付いてはいない。
このまま去るべきかと思い、今度こそ席を立った。
「あっ」
少女は僕に気付き、声を上げた。
そして、僕のやろうとしていたことが分かったようで周りをキョロキョロと見渡し「結構時間経ったのか」と驚いていた。
「・・・・随分と長い間相席させてもらったみたいで・・・・ご迷惑お掛けしました」
わざわざそんなこと言われるとは思いもしなかったので、自分らしくも無く驚いてしまった。
そんな僕とは正反対に少女は「ん〜」と腕を伸ばして首を左右に折り体をほぐしていた。
「あと少しだったんだけど・・・・・蛍灯花だけが・・・」
溜息交じりには呟き、本を閉じた。
上半身を隠すほどの量の本は見事に読み切られ、左に積まれていたはずの本の山は上下逆になって右側に積まれていた。
この時、初めて少年は少女がハッフルパフだと気付いた。
「・・・・ハッフルパフか」
スリザリンはハッフルパフを落ち零れの集まる寮だと呼んでいる。
だが、僕はそんなことに興味は無い。関わりさえ無ければどうでも良い。
しかし、今のセリフは少女にとっては嫌味に聞こえたようだ。
「そう、ハッフルパフ。気付いてなかったんですね。
スリザリンがハッフルパフを好んでいないのは知ってました・・・・私は気にして無かったもので・・・・嫌な思いさせたならすみません」
決して謝って欲しいなど思ってもいなかった。
だが、謝ってきた相手を無視するのは流石の僕も悪いだろうと思った。
「気にしていない」
「・・・・そう?それは良かった」
僕の言葉に彼女はとても綺麗に微笑んだ。
目を離せなくなるほどの綺麗な微笑み。・・・・・・何を考えているんだ。
「蛍灯花がどうかしたのか」
自分の気持ちを紛らわすように、隠すように言った言葉。
彼女は一瞬、驚いた表情を見せたがその後困ったように笑って「生息地が分からないんです」と呟いた。
なるほどと納得した。蛍灯花の資料ははっきり言って少ない。
この図書館にあるかも疑わしい。それくらい珍しい植物で、情報も集まっていないのだ。
「蛍灯花の生息地は今のところはっきりとは分かっていないらしい。
だが、気温が常に十二度以下の場所にしか生息しないのは確かだと表記されている。
あとは標高が高く、月光が当たらなくては成長しないなどと言う情報もあるが不確かだな」
「・・・・詳しいですね。流石セブルス・スネイプさんと言ったところでしょうか・・・・助かりました」
スネイプはを睨みつけたのだが、は怯むことも無く笑った。
「魔法薬学でいつも誰よりも早く、そして完璧に調合していらっしゃるでしょ。
だから、知っているんですよ。凄いと思ってました。よっぽど本を読まれて勉強されてるのでしょ?」
「・・・・貴様、名前は?」
「初めまして。ハッフルパフ一年、・です」
ああ、こいつが噂の少女。騎士と呼ばれる奴だったのか。
妙に納得できた。出会って、話して間もないにも関わらず、この少女は普通とは違うと感じたから。
数時間で読み終えた本の数は半端では無く、落ち零れと言われるハッフルパフを感じさせることは一切無かった。
驚いたことに、僕は・を同等の位置の者として見ていたような気がする。
「そうか。紹介は不要だろうがセブルス・スネイプだ」
「改めて、宜しくお願いします。スネイプさん」
「・・・・・・敬語はいらん」
何となく不愉快で口から出た言葉に自分で驚いた。
しかし、彼女はニッコリと笑って「わかった。よろしく」と手を差し出した。
何故か、その手を握り返すのが自然な動作になっていて再び驚いてしまった。
「そろそろ戻らなくちゃいけないみたいだね。行こうか、スネイプさん」
「ああ、そうだな」
「あ、私のことはで構わないよ。が良ければそれでも構わない」
「わかった。僕のこともセブルスでも構わない」
まただ。無意識に出た言葉に驚かされる。
ファーストネームで呼ぶことをわざわざ自分から許可する日が来るとは思わなかった。
彼女は「有り難う、セブルス」とまた綺麗に笑う。
何なのだろう、この少女は。
男らしいと言われるのは何故なのだろう・・・・
こんなにも彼女は・・・・・
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おめでとう。セブルス登場!!
やっと出て来れたね。パフパフドンドンヒューヒュー(大騒ぎ
無駄にセブルスとのやり取り長くなってしまいました。
だって、お互いあんまり関わり合う気無いタイプだからゆっくりと関わり合わせたかったのですよ!
しっかし・・・長くなってしまった。
しかも、バレバレなのにセブルスであることを最初一生懸命隠してました(笑)
良いねーセブルス。無口で無愛想な君が大好きだぁ!!!(謎
更新一ヶ月半ぶり・・・・止まってたなぁー。
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