僕のこの想いに気づきたく無い

自分で気づくのも嫌

誰かに気づかれるのも嫌

だから隠そう だから偽ろう 笑顔と云う名の仮面で









「失礼します」
「今、ちょっと手が離せないからこっちへどうぞ!」
「はい」


が落ちてきた少女を助けてから今日で一週間。
マダム・ポンフリーの言ったとおり、きっかり一週間で完治した腕のギプス包帯を外してもらうために医務室へやってきた
医務室へ入ると、忙しそうなマダム・ポンフリーの声。
言われるままに奥へと進む。


「あっ・・・・・」
「・・・・・ルーピンさん」
「覚えててくれたんだ。ありがとう」
「体調でも悪いの?」
「・・・まあ、ちょっとね・・・・」
「・・・・そうか」


奥ではマダム・ポンフリーのもう一人誰かの声。
声の主はリーマス・J・ルーピン。
を見て目を見開くリーマスにはいつもの笑顔を返した。
体調が悪いのかと尋ねられたルーピンは苦笑しながら自分を責めるように答えた。


「さあ、ルーピン!これで少しは楽になるでしょう!この薬を飲むと良いわ!」


マダン・ポンフリーはサッと立ち上がると、テキパキと棚から薬を取り出しリーマスに渡す。
リーマスは「有り難う御座います」と言って椅子から立ち上がり、医務室から立ち去ろうと歩き出しと目が合った瞬間。


「リーマス」


ポツリと聞こえるはずが無いくらいに小さな音。
だけど君は気づいてくれて、不思議そうな顔をする。
だから僕は言ってしまった。

甘え? 嫉妬? 分からない。

だけど、そう呼んでほしいと思ったから言ってしまった。


「・・・・・・・・・え?」
「ルーピンじゃなくてリーマスって呼んでほしいんだ」
「あっ・・・わかった。お大事にリーマス」
「有り難う」


僕の心は異常なくらいに軽くなった。
君が僕の名前を笑顔で呼んだだけなのに。それだけなのに。
僕は可笑しいのかもしれない。人狼だけでは無く、病気にもかかってしまったのかも。

その病名は誰でも知っている名前。
馬鹿馬鹿しい様な、だけど深刻な病名。

だけど、まだ知らないふりをしよう。
いつまでも知らないふりをしよう。
気づいたって無駄だから。
僕の未来は決まっているから。








「どうしたんだいリーマス?元気が無いようだけど?」
「リーマスはいつも元気一杯って顔はしてねぇーけどな」


横から口を出してニヤリと笑うシリウスをジトッとした目でみるジェームズ。
「何だよ?」と眉を寄せるシリウス。


「うるさいよシリウス。僕は君とは違って羽目を外す時を分かっているんだ」
「なっ!お前っ、それじゃあ俺がいつでも馬鹿みたいにはしゃいでるって言ってるみたいじゃねーか!!」
「・・・・そう言ってるんだよ。分かってるじゃないか」
「ジェームズっっ!!」
「あっちへ行っててくれよ。シリウス。僕はリーマスと話したいんだ」
「・・・・っち。 わかったよ」


シリウスはジェームズの真剣な顔を見て舌打ちすると、ドスドスと床を踏み鳴らしながらリーマスとジェームズから離れて行った。
それを確認してジェームズは再び同じことを問う。


「それで?どうしたんだい?」
「・・・・・・どうもしないよ?」
「嘘だね。僕を騙せるとでも思っているのかい?見縊(ミクビ)らないでくれよ!」
「見縊ってなんかいないさ」
「・・・・そうだね。リーマスはそんな奴じゃないね」
「・・・・・どうだろうね」
「一体、どうしたって言うんだい?医務室に行って顔色は随分良くなったのに君はどこか夢現(ユメウツツ)だ」
「え?そう?」


リーマスは、そんな態度を見せているつもりは無かったのでジェームズの言葉に驚いた。
自分ではいつもと変わらないつもりだったのに、ジェームズには夢現に見えているようだ。
リーマスの驚きに対して、ジェームズは「僕には分かるんだよ!」とブンブンと首を立てに振った。


「・・・・・そっか。大丈夫だから。気にしないで」
「・・・・オーケー。でも、何か悩みがあればいつでも相談してくれたまえ!僕は君の友達なんだからね!」
「ああ」
「あ、もちろんシリウスもピーターも友達さ!」


ジェームズは満足そうな顔をして、「邪魔して悪かったね」と去っていった。
リーマスは読みかけだった本に再び視線を向けたものの読む気にはなれなかった。


「夢現に友達か・・・・」


瞳は何者も見ておらず、口から出た声はなんとも儚いものだった。












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ヒロイン出番少なっ!?
すみません・・・・でも、この先もこのような場面になることも何度かあると思います。
基本はヒロインメインなんですけど・・・・・・
今回は、リーマスメインみたいな話です。ギャー

悪戯仕掛け人の四人は随分と仲良くなってますよ。
でも、まだまだ先は長いのですっ!
ヒロインは包帯とりました。骨折も捻挫も完治。

2005/11/22      ←気に入って頂ければ押して下さい。



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