入学してからあっと言う間に人気者になった少女がいる。
彼女はハッフルパフ生。名前は
漆黒の髪はとても美しく、白い肌と酷く似合っている。
彼女の人気は止まることを知らず、僕の耳に入ってくる言葉はどんどん凄いものになってくる。
最初は「綺麗」次は「優しい」「頭が良い」そして、最近じゃ「騎士」「男より男らしい」まで。

一体どんな少女なのか気にならないと言えば嘘になる。
だけど、僕は知らなくても良いんだ。
知ったところでそれ以上は何も無いから。
何も無いなら知らなくても構わないから。


「リーマス!授業に遅れたいのかい?」
「ああ、ごめん。すぐ行く」


目の前に広げた羊皮紙を手早く掻き集めて、鞄に詰め込み席を立つ。
待っていてくれるのは同じ部屋になったジェームズ、シリウスそしてピーターだ。
彼らは友人。ただし表面上だけの。
僕に本当の友人なんて必要無いから。出来るはず無いから。
無駄な望みは捨てるって決めたんだ。
ホグワーツに入学できて普通の生徒と一緒に居られるだけでも十分すぎるんだ。
分かってる。望むことは無意味なこと。


「聞いたかい君達!」
「な、何を?」
「内容を言わなきゃ分かるわけねーだろ」
「うん!良い質問だピーター!!」
「ああ、無視すると思ったよ」


幸か不幸か同室になった彼等は実に個性豊かだ。
ジェームズはリーダー的存在で、シリウスを馬鹿にするのが気に入っているようだ。
シリウスは一日の23時間は不機嫌そうで、それでもジェームズには気を許してるように見える。
ああ、最近はピーターにも随分気を許しているような気もする。
ピーターは自分に自信が無いようで常に弱気。スリザリン生から馬鹿にされるから堂々としてろってシリウスに言われてた。
でも、君は人間だろ?普通の人間。
何を弱気になるんだい?十分じゃないか。


「彼女だよ!の噂」
「はんっ!階段から落ちた間抜けな生徒を助けたって話か?」
「シ、シリウス・・・ま、間抜けは可哀想だよ。お、おなじグ、グリフィンドール生だったらしいし・・・・」
「まあ、シリウスの口の悪さはどうでも良いとして。彼女、実に面白いよ!」
「そ、そう?」
「ああ!考えてもごらんよ。普通受け止めるなら魔法を使わないかい?彼女が魔法を知らなかった可能性はあるが、助ける必要は無かった。
だけど彼女は助けた。しかも話によると一瞬たりとも躊躇する気配は無かったそうだ。そして彼女はこう呼ばれている!」
「「ナイト」」
「おや・・・・ルーピンは知っていたんだね」
「ああ。噂を聞いただけだけどね」


何で口を開いたのか分からない。
ジェームズの話だって右耳から入って左耳から抜けていたのに。
何故か一瞬だけジェームズの言葉がハッキリ聞こえて気づいたら口を開いてた。ナイトと・・・・・
シリウスは彼女が気に入らないようで、いつも彼女の話題になると不機嫌そうにしている。
理由なんて興味も無いから聞こうと思ったことも無い。


「リーマス・J・ルーピン」
「え?」


僕の名前に自然と反応して後ろを振り向けば、そこに居たのは彼女。


「あっ・・・・・・・・・さん」
じゃないか!」
「・・・・ああ、ポッターさん」
「"ポッターさん”だなんて!ジェームズと呼んでくれたまえ!」
「わかった」
「・・・えっと・・・」
「あっ、これを落としたようだから呼び止めたんだ」


彼女は手に持っていた一枚の紙切れ−−−それは僕が鞄に無造作に突っ込んだ羊皮紙の一枚−−−を差し出した。


「あ、有り難う」
「いや。必要な物だろうと思っただけだから。御礼を言われるようなことじゃないよ」


彼女はやっぱり見惚れるような綺麗な顔をしてて、そして僕だけに向けてニコリと笑った。
心臓がドクンと動いたのが嫌なくらい分かった。
だけど気づかないふりをする。だって無意味なことだから。


「それでも・・・助かったから。有り難う」
「そうか。良かった。どういたしまして」


本当に綺麗に笑う彼女にピーターは顔を真っ赤にさせてるし、ジェームズも満足そうに笑ってる。
僕も、つられる様に笑い返した。
その一瞬。彼女の瞳が少しだけだけど曇ったのが分かった。
ほんの一瞬だけで、目の錯覚だろうかと思ったけど・・・・彼女の笑顔は印象的で、逆にその曇った瞳も印象的だったから錯覚じゃないと分かった。


「それじゃあ。ジェームズ、ルーピンさん、シリウスさん。それに・・・・」
「ぴ、ピーター・ペティグリュー」
「どうも、ペティグリューさん。お元気で」
「ああ、も!」


曇った瞳はやっぱり錯覚だったんじゃないかって思うくらい君は優しく笑った。
残された僕は何とも言えない感情に支配されていた。


「き、綺麗だったね」
「ああ、彼女は素晴らしいよ!」


彼女は素晴らしい。だけど、曇った瞳の原因は?












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リーマス視点でした。
ジェームズはシリウスに続いて、リーマスとピーターとも友達なりました。
仲良くなる場面を書こうかと思っていましたが省略しました。
別に、ジェームズのしつこさには誰も勝てないってだけのことですから(笑)

どういたしましてって「どう」?それとも「どお」?
よくわかりません・・・・orz

2005/11/16



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