「ねえ、ってどうして男の子みたいな口調なの?」
それはがジェームズとシリウスに出会い、午後の授業を受けた後のこと。
初日に知り合った友人クリスはここ一週間、と一緒に行動していて不思議に思ったことを口にした。
クリスとは幸い同じ部屋だった。
同室はと同じように長く真っ直ぐの、しかし金色の髪にブルーの瞳の大人しめのマリン・アントス。
正反対に活発的で、楽しいことが大好きなこげ茶色の髪と黒に少し緑がかった瞳を持つメリー・ハウドが一緒だった。
同室の四人はその日のうちに仲良くなり、教室移動などは一緒に行動するようになった。
「あ、私も思った!」
「私もー。ってどうして男の子みたいな口調なの?」
「男の子って言うよりも、女の子っぽくない口調よね。男口調とは言い切れない感じ」
次々と言葉を発する友人をは黙って見つめ、静かになるのを待つ。
そんなに気づかず、友人たちは三人で盛り上がる。
「でも、がしゃべると様になるって言うか・・・・」
「・・・似合うのよ!!」
「そうそう!違和感が無いって言うか・・・むしろそれが普通に見える?!」
「で?!結局はどうしてなの?」
は女でも顔を真っ赤にするような笑顔で言った。
「私のため。私は強くありたい。舐められるのなんて嫌。
女だからって馬鹿にされたくない。だから、女口調でもなく男口調でも無いんだ。
だけど、私は女であることを嫌とは思っていない。だから私は"私”と言うし、髪を伸ばして女だと自覚する」
笑顔で答えた。
しかし、その言葉は深い意味が含まれていることに何となくだが感づく三人。
しばらくの沈黙の後、口を開いたのはメリーだった。
「えー・・・よく分かんないよぉー」
プーと頬を膨らませるメリーには、優しく微笑み言った。
「いつか分かるよ。世界は男と女を比べたがるものだから」
「そう言うものかしら・・・・」
いまいち分からないという顔でクリスが言うと、マリンも横で頷いた。
メリーに至っては、もうサッパリと話に加わろうともしなくなった。
「ベルッッ!!」
突如振ってきた声に、四人は頭上へ顔を向ける。
「きゃっ」
「人っ?!」
「っ!!!?」
目を見開くクリス、マリン、メリー。
は状況を察すると、走り出し落ちてくる人間の元へ向かった。
「「「ッ?!」」」
視界の隅で動いた黒い影に気づいた三人は、慌てての名を呼ぶ。
は、答えることも振り向くこともせず猛スピードで走る。
バフッッ
「・・・・・・っ・・・」
「!!」
「大丈夫。無事だから」
「・・・・そう。その子は・・・?」
間一髪のところでは落ちてくる少女を受け止めることに成功した。
しかし、例え少女とは言えも女であることは事実で受け止めた衝撃は大きなものだった。
受け止めた瞬間、辛そうに顔を歪めたもののクリスに大丈夫だと答え腕の中の少女に視線を移す。
「大丈夫?」
「・・・・っ・・・あ、ありがとう・・・・」
「どこか痛いところは無い?」
「はい・・・・ごめんなさい・・・・」
「大丈夫だから。立てる?」
「・・・・・はい」
はそっと腕の中の少女を地面に降ろす。
「あの・・・本当に有り難う御座います!!それに、本当にごめんなさいっ」
「・・・・大丈夫だから」
必死にお礼と謝罪を述べる目の前の少女には困ったように笑いながらも、一息つくといつものように優しい笑みを浮かべた。
「この階段は気まぐれなんだ。二度目は命が無いかもしれない。十分に注意した方が良い」
「・・・・・・・はい」
「うん。仕方ないよ。新入生なんだし。次から気をつければ良いだけだよ。気を落とす必要は無い」
綺麗に笑うに少女は顔を真っ赤にさせながら頷いた。
「何事ですか?!」
やってきたのはマクゴナガル。
どうやら、落ちた少女を心配した友人が先生を呼んだようだ。
クリス達が大まかに先生に説明をすると、先生はと少女を見て頷き念のため医務室へ行くようにと言われた。
は「分かりました」と頷き、少女に「行こう」と微笑み歩き出そうとする。
「お待ちなさい」
「はい?」
「あなたのその素晴らしい行動に対してハッフルパフに50点差し上げます」
「・・・・有り難う御座います」
騒ぎに気づき足を止めていた生徒達から、オーと拍手があがりは全体に向けて一礼するとその場を去った。
の去った廊下は一時騒然としており、「かっこ良かった!」だの「男より男らしい!」「素晴らしい人」と益々の人気が上がっていた。
「彼女、まるで騎士よ!本当にかっこ良かった!!」
「綺麗で頭も良くって、そのうえ優しい。そして・・・・かっこ良い!!!」
キャーキャー騒ぐ少女達は少なくは無かった。
「参ったな・・・・・」
落ちてきた少女、グリフィンドール生のベル・ガーナルが去った医務室では包帯の巻かれた腕と足首を見て呟いた。
「あなたの行動は大変素晴らしいことです。しかし・・・・足首を捻挫。おまけに腕を骨折ですよ!」
「・・・・はい」
「あなたが助けなければ彼女は良くて複雑骨折。悪ければ死んでいたでしょう。ですから、私もあまりガミガミは言いません」
「有り難う御座います」
「あなたは新入生ですし、授業に出れなくては何かと不便でしょう。入院しろとまでは言いませんが一週間は医務室へ通うこと」
「はい」
「では、寮へ戻って結構ですよ」
「有り難う御座います。マダム・ポンフリー」
「いいえ。気をつけて」
「失礼します」
その場で痛みを感じたものの、落ちてきた少女ベルが自分自身を責めることになると分かっていたは気づかれないよう痛みを我慢し、平然を装い医務室へ向かった。
先にベルを見てもらい、問題無いと寮へ返されたところでは自分の症状を見てもらったのだ。
案の定、捻挫に骨折。
「もっと鍛えよう」
そう呟いたのは以外の者は誰も知らない。
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ありえない出来事・・・?
でも、気まぐれ階段ならあっても可笑しくは無いと思います。
ヒロインの男っぷり分かって頂けたでしょうか(笑)
医務室へ向かったのはヒロインと落ちた少女ベルだけです。
友人は皆、その場に残ったりそれぞれの寮へ戻ったりしました。
2005/11/16←気に入って頂ければ押して下さい。
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