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昼休み。この時間は友達を作る絶好のチャンス!
私は、授業終了の合図と同時に周りをキョロキョロと見渡す。
ざっと見てグループが1、2、3・・・
「さん、一緒に飯食わね?」
「あ、いや私、この時間に友達作りたいから」
「んじゃ、問題無し!行こうぜぃ」
「え?!」
いやいやいやいや、問題ありますって!
何が問題無いの?あるじゃん。どう考えてもあるじゃん!
大体、丸井君に腕を掴まれ引き摺られる様に学食へと向かう私達の後ろを口の端を僅かに上げて着いてくる仁王が気に食わない!助けろ!絶対私の気持ち分かってるだろ!
「さん何食う?」
「あー・・・オススメとかある?」
「このSS定食」
「そらブンちゃんへのオススメ。女子には食い切れんぜよ。普通の定食にしときんしゃい」
「・・・じゃあ、A定食?」
「俺はカレーで、宜しく」
「は?宜しくって何だよ!」
「先に行っとくぜよ」
500円玉を丸井君のお盆の上に載せると、ヒラヒラ手を振り仁王は賑わう人混みへと姿を消してしまった。
気に食わないらしい丸井君はブツブツ言いつつ、それでもちゃんとカレーを注文して上げるあたり優しい。
そんな丸井君に笑いを耐えつつ、A定食を注文して後を追うようにお盆へ料理を載せて行く。
「お、結構揃ってんじゃね?さん、部活の奴等紹介すっから」
「え?」
「新しい友達作りたいって言ってただろぃ?」
「言ったけど、丸井君って男子テニスだよね?」
「そうだぜぃ」
「私、女の子の友達を・・・」
「あ、マジで?・・・悪ぃ。そうだよな、女の子は女の子の友達だよな。あー、ごめん!」
「いや、うん、もう良いよ。明日とかあるし」
「本当、悪い!考えて無かった!」
「いいってば!もう良いから!」
丸井君の強引な行動には正直ちょっと怒っていたけど、彼は態とじゃなくて善意でやってくれてたことだし、今後チャンスはいくらでもある。
それに、何よりこんなところで何度も大声で謝られるのは目立って仕方ない。それこそ勘弁して欲しい。
「ブンちゃん、声でかい。目立っとるぜよ」
「あ、・・・と、悪い。さん」
「うん、いや・・・うん」
「とりあえず二人とも座りんしゃい」
仁王に施されるがまま、空いた席へと腰を下ろし改めて周りを見れば
「えっ、と」
「テニス部メンバーじゃ。正確にはテニス部レギュラーメンバーの一部じゃ」
「はぁ、皆さんお揃いで何よりです」
「何それ」
クスッと笑ったのは、あの泣く子も黙るとか黙らないとか噂の幸村精一。
その横にも前にも座っているのは豪華なメンバーですよ。ええ、本当に。心の準備出来て無いんだけどね。
「初めまして、今日転校してきたばっかりのです。仁王と丸井君と同じクラスです」
「初めまして、幸村精一。テニス部部長だよ」
「柳蓮二だ」
「柳生比呂士と申します」
「ジャッカル桑原だ。宜しくな」
「あと、副部長の真田が居るんだけど今日は委員会があるらしくて来てないんだ」
「そうなんですか」
「あ、赤也も居た。二年で唯一のレギュラーなんだけど、切原赤也って」
「ああ、知ってるんで大丈夫です」
幸村君の説明に敢えて被るように言ってやれば、「さんは赤也をお気に召さんかったんじゃ」と仁王が付け加えるように言った。
「へぇ、もう赤也に会ったんだ?」
「ええ、休み時間にいらっしゃったので」
「珍しいですね、切原君が嫌われるなんて」
「私、常識無い人って駄目なんです」
「ああ、納得」
柳生君が不思議そうに問うもんだから私は思い出してしまった今朝の出来ごとに口調を荒くして答える。
すると幸村君が一瞬箸を止めて頷いてくれた。部長さん躾けて下さいよ。
「噂をすれば」
「部長ー!先輩ー!」
「今日は遅かったですね」
「赤也のクラスは最後の授業が体育だったからな」
「ストーカーみたいッスね、柳先輩・・・う、嘘ッス」
切原はスッと開いた柳の目に気付くとタイミング良く空いた席へと素早く腰を下ろした。
と、そこで私と切原の視線がカチリと合う。
「アーッ!なんで居るんだよ!」
「こう、急に叫ぶ人とかも好きじゃないかな。あと、言葉遣いのなってない人とか」
「なんでこいつが居るんスか?!」
「俺が誘ったからだよ。文句あんのか?」
「なんで誘うんスか!」
「嫌ならあっち行けよ」
「・・・それは」
口を閉じた切原は、静かに料理へと箸を伸ばし始めた。
それとは対照的に丸井君は満足気で、次から次へと皿の上が綺麗になって行く。
「そう言えば、今日二限目の休み時間に丸井叫んでただろ」
「え?そうだっけ?」
「あれじゃ、音楽室への移動」
「ああ!あれな!あれはさんのせいで」
「は?私のせい?私何もして無いじゃん!」
「いや、だってさん俺のツボに見事にハマった」
「へぇ、丸井のツボに?」
「別に私は何もしてないんだけど」
そう言ってみたのだけど、丸井君はあの時間のことを皆に話初めて私は諦めて食べることに集中した。
あ、私の家・・・どうなってんだろう。
「さんはどの辺りに住んでいらっしゃるんですか?」
「んー、何処だろう。何処かなー」
「え?」
「・・・あ、ごめん。ボーッとしてた」
やばい。自分の家なのに何処だろうとかあるか!アホか!しっかりしろ自分!
「家はね、まだあんまり方角とか分かって無いんだよね。引っ越してきたばっかりで」
「住所は?」
「えっと、神奈川県・・・神奈川県・・・覚えて無い」
「ちゃんと家帰れるのかよ」
「大丈夫だよ!」
まさかのジャッカルに呆れられてしまった。でも、大丈夫とか言っときながら大丈夫じゃないよなー。
本当にどうしたら良いんでしょうか、私。
※立海は学食設定。 幸村は入院してません設定。

2010.10.02
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