「一年があっと言う間だったね!」
そう、笑ってジェームズが言うとリーマスが同意するように頷く。
六年生最後のホグワーツでの食事はいつもと変わらず美味しかったが、いつも以上に美味しく感じるのは皆同じだ。もしかすれば屋敷しもべ妖精がいつも以上に頑張ってくれたのかもしれない。そんなことを考える人間が居るのかは疑わしいところではあるが。
「本当に、がやってきて一年でしょ?・・・ジェームズの言う通りあっと言う間だったと思うわ」
「ぼ、僕もそうお、思うよ」
「ったく!俺らとがこの一年でどれだけ話したか分かんねーけど半年!少なくとも半年はほとんど“喋らない”で潰れたな!」
態とらしく“喋らない”を強調するシリウスに対してはむず痒そうにして視線を逸らした。
一年。 本当に 多くのことがあった。
は静かに空を見つめた。思い出すのは笑い合った日。喧嘩した日。泣いた日。どんな思い出にも彼等は居た。その事実には今更ながら驚いた。
「・・・確かに、パッドフッドの言う通りだね!ま、後悔したってどうにもならないさ」
にこっと微笑みジェームズは溜息を吐いたリリー、ピーター、シリウスに視線を向けた。
「正に“後悔先に立たず”、さ」
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シンッと空気が重くなり、ジェームズが「やめ、やめ!」とでも言うかのように首を振った。何故こんな空気になる必要があるのだとジェームズは眉根を寄せ皆を見た。
「僕らはこれで卒業じゃないんだ。来年がある!卒業したって再来年もある!未来で過去の分まで話せば良いだろ。そう思わないかい、?」
ツキリと痛んだ胸が確かにあった。
だけどそれは「勘違い」そう言い聞かせる。
何を悲しむ。何を悔やむ?
十分じゃないか。彼らと過ごせた一年は最高だった。私には十分すぎる幸せだった。
これ以上なにを望む?望んで良いわけがない。
分かっていたことだ。
別れが訪れることは・・・
「・・っそうだね。いっぱい・・話せば良いんだよ!」
深く息を吸って、海の底に沈んでしまいそうな気持ちを無理にでも浮かせ、は答えた。ただ、どれだけいつも通り笑えたかは分からなかった。それでも、彼等には気付かれなかったようだ。
強く
強く
強く
拳を握った。
忘れてしまいたい。
涙の存在を。
笑っていたい。
最後の最後まで。
別れたくない。
彼等と一生。
重力に耐え切れず零れた涙は誰にも気付かれること無く蒸発する。少なくとも、今、この時間は“悲しみの涙などこの世には無い”そう言うかのようにの周りは笑い声で溢れていた。
未来なんていらない。
私は「今」に留まりたい。
これっぽちも
帰りたいなんて思わない。