初めて教師以外の人間、リリーに話し掛けれたその日から−−本人曰く「初めてじゃないわ!」−−は太陽が西から昇ったので無いかと疑いたくなるほど多くの生徒に声を掛けられた。まともな会話をした記憶なんて無かったが誰も気にしていないようだった。「また話そうね」何度そう言われただろうか。
特に、毎日、一度は話し掛けてくる人物が三人。一人は宣言したとおりののことを一つでも多く知ろうとするリリー・エバンズ。もう一人は周りは首を傾げたが−−なぜ彼が其処まで拘るのか−−常に自信なさ気のピーター・ペティグリュー。そして、最後の一人は誰もが認める甘党の彼−−ポケットには必ずキャンディーが入っている−−話し掛けるよりも挨拶を交わす程度だったが、には強い印象が残っているリーマス・ルーピンだった。
 
 
「なんで毎日キャンディー・・・入れるんだろう?」
 
 
そう呟いたのポケットにはピンクのビニールに包まれたキャンディーが一つ。
は決心した。
 
 
聞いてみよう。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
笑顔を見たい妖精 一つのキャンディー を
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
談話室の一角。いつものメンバーの中にの目的の人物は居た。大きなチョコを右手にとても幸せそうだ。
 
 
「あ、
 
 
意を決して無駄に目立つ彼等に歩み寄ったにいち早く気付いたピーターは少し驚きながらも少女の名を嬉しそうに呼んだ。彼女は一度だって自分から話し掛けてくることも近づいてくることも無かった。初めてのその彼女の行動に談話室の視線が集まったのをシリウスは感じた。おそらく隣にいるメガネの青年も同じだろう。
 
 
「ルー・・・ピン」
「やあ、。何か用かい?」
 
 
そう尋ねたくせにリーマスは笑顔だった。君の言いたいことは知っている。だけど、君の口から、聞きたいんだ。
 
シリウスは何度かリーマスがのポケットにそっとに気付かれないようにキャンディーを入れるところも、がそのキャンディーに気付き不思議がっているのも目撃した。・・・何やってんだ、あいつら。
 
 
「どう、して・・毎日、ポケットにキャ・・ンディーを入れる、の?」
 
 
彼女にしては長いセリフだった。そのせいか居心地が悪そうで視線が定まっていない。
ピーターは不安そうにリーマスを見た。
 
 
「キャンディー?何のことだい?」
「・・・あなた、でしょ?キャンディーを、私の・・・ポケットに毎日、入れる・・のは」
 
 
キョトンとして−−演技が上手すぎるとシリウスは思った−−リーマスはう〜んと少し考える素振りをしてみせ、にこりと微笑んだ。
 
 
「ああ、それって、きっと君の笑顔が見たい妖精がこっそり君のポケットに入れたんだよ。ね、ピーター」
「え?・・・あ、うん!」
 
 
慌てて頷いたピーターは「・・・あれ?」と首を傾げた。なんで嘘つくのだろうと。
は未だ表情が無いに等しい。彼女の此処最近の表情と言えば無表情。そしてセブルスだけが見た涙。だから、談話室に居る者は無表情以外の彼女の表情を知らない。つまり仕方ないことだったのかもしれない、その時彼等が思わず頬を赤く染めたのは。
 
 
「・・・そうなんだ」
 
 
少しだけ恥ずかしそうに頬を染めたが居たのだから。
 
 
 
 
 
 
 

君のポケット 僕のポケット 同じキャンディー一つずつ       >>>

 
 06'07.31     パチパチ・・・