「あ、ねえだよ。−−!」
嬉しそうなピーターの声にジェームズ、シリウス、リーマスもその少女、を見た。
だが、少女が振り向くことも言葉を返すことも無かった。
「無視かよ」
シリウスの馬鹿にしたような声が響いた。
はそう言われても仕方が無い。それほどまでに完璧に無反応だった。
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・。そいつがホグワーツにやってきて一ヶ月経った。あいつの第一印象は“暗い”だ。なんであんな奴がグリフィンドールのしかも俺らと同じ六年なんだ?そして、一番謎なのがピーターだ。ピーターは異例の編入生がやってきた次の日に早速声を掛けた。が、拍手を送っても良いくらいに完璧に無視された。それなのに、だ。ピーターの奴は毎日毎日めげることなく(あのピーターがだ!)あの編入生の声を掛け続けた。そして分かった。あの編入生は驚いたことにピーターはおろか、声を掛ける生徒全てを完全に無視している。・・・むかつく奴。
あいつが唯一反応するのは教師の声だけ。しかも、それすらこれでもかってくらいに必要最低限の言葉しか返さないのだ。あいつの声を聞くとすれば(聞きたいなんて思ってない!)授業中に限られている。し、かもだ!下手すりゃ教師はあいつに声を掛けない時もあるわけだから一週間に一度も声を聞かないなんてことも・・・・あった、気がする。そんな不思議?むかつく?とにかく異質な奴を好むのがジェームズだ。ついでなのかは知らないがリーマスもリリーもあいつに話し掛けようとした。あー・・・呼びかけたんだ、正確には。そして見事惨敗。
もう一ヶ月も経ってピーターも流石に「迷惑なのかな?」と諦め始めた。そんな、ホグワーツ中の蝋燭を真昼間なのに全て灯さなければならないほど太陽が分厚い雲に隠されている午後のことだった。
「私、分かっちゃったの!」
興奮してやってきたのは、諦めるどころか日に日にあいつに話し掛けることに命を懸け始めたリリーだった。いち早く反応したのはリーマスとチェスをしていたジェームズで−−やあ、リリー!興奮している君も素敵だ!−−続いて、チェスの駒を動かし終えたリーマス、その駒を眺めていたピーターが顔を上げた。
「何が分かったんだい?リリー」
ジェームズがこうなったら−−リリーしか眼中に入っていない−−チェスに終わりが来ないと知っているリーマスは、駒たちを大雑把に片付け始めた。−−こんな中途半端でやめるのか?!意気地無し!!−−駒の文句を綺麗に無視して、嬉しそうなリリーに視線を向けた。
「うふふ、のことよ」
「のこと?!」
一番素早く(ここ驚きだ)、一番強く反応したのはピーターだった。続きが聞きたくて仕方が無いと言わんばかりに実を乗り出した。そんなピーターにリリーはにこりと微笑んで−−「ああ、僕にその女神の微笑みを向けておくれ!」とジェームズが叫んだ−−人差し指をピンッと立てて「実はね」と心底嬉しそうに話出した。
「彼女、私達を無視していた訳じゃ無かったのよ!私ね、たった今、偶然だけど廊下で見ちゃったの。彼女ね、一枚羊皮紙を落としたの。私、チャンスだって思って−−だって声を掛ける理由が出来たんですもの!−−彼女にそのことを伝えようとしたの。だけど私より先に別の子が−−名前?・・・どうだって良いのよ、そんなこと−−とにかく、別の子が羊皮紙を拾ってしまって、まあ・・・に声を掛けたのよ。私、偶然にも近くに居たから・・・達は気付いていなかったけど・・・私にはしっかり内容が聞こえてたの。偶然ね!」
そこまで“偶然”を強調させる彼女に誰も何も言えなかった。
「それでね−−−」
彼女の話しは長かった。少なくともシリウスが七回、欠伸をするくらいに。