私は決心した。
告白する!
ある日やってきた転校生。千歳千里。
彼に恋したのはいつだっただろうか。気付けば私は彼を見ていた。
「あんた千歳のこと好きなん?」
そう友人に言われて初めて分かった自分の気持ち。
それからも私は相変わらず千歳をただ見続けた。
「告白したら?」
「せぇへん」
この会話が何度あったことか。
好きな人の話題が出れば必ずと言っていい程、私は皆に言われた。
そう、私が千歳を好きなことは一部では有名なのだ。
但し、口の堅い友人ばかりなので本人にばれる予定は無い。
「おはよー」
「おはよう」
「・・・どうかした?」
私のいつもとは違う空気に、早速気付いたのは流石は親友。
「私、千歳に告白する」
「・・・マジ?」
「マジ」
いきなりの私の発言に親友はあからさまに驚いたけれど、私の本気は伝わった。
「せやけど、今日は止めた方がええんやない?」
「善は急げって言うやん」
「言うけど、急がば回れっても言うやん?ってちゃうちゃう!」
「何?」
「今日は日が悪いって!」
「今日は待ってくれないの!私行ってくる!」
「あかんって!」そう止めようとする親友を後にして私は、千歳を探しに教室を出た。
「おかえりー」
「・・・」
千歳は見つからなかった。いや、きっと学校へ来ていないのだ。
彼は出席率が宜しく無い。知っていた。
本当に今日は無理なのかもしれない・・・。
そう諦め半分になった気持ちで授業を受ける。私のあの気合いは何だったんだ。
「ほな、次ページの問7を5分間やるから考えるんやで」
先生の言葉にページを捲る音が耳へ届く。
私も溜息を吐きながらページを捲り、窓際の席なので外へ視線を移す。
「・・・っ!」
千歳だ!
間違い無く千歳千里の姿がそこにはあった。
彼は急ぐ様子も無く、体育をする生徒達の横を歩き校舎へ向かっている。
生徒に何か言われたようでヘラッと笑って手を振った。
「先生!」
「なんや、」
「腹痛が痛いので保健室へ行って良いですか?」
「腹痛が痛いってお前、大丈夫か?」
クラスがドッと笑いに包まれた。
「じゃあ、頭があかんので保健室行ってきます」
「いや、無茶苦茶過ぎるで」
「行ってきます!」
先生の許可も待たずに私は教室を飛び出した。
向かう場所は一つ。
私は、出来るだけ早く、早く、早く!と、小走りで廊下を進む。
「居た!」
「・・・ん」
「千歳!」
「おー、さん。奇遇ばいね」
下足箱から上履きを取り出していた千歳は私に気付くとヘラリと笑う。
私は、彼との距離を縮めた。
「あのね、」
「ん?」
「好きなの」
「・・・」
「好きだよ・・・」
「嘘だろ」
「嘘じゃない!千歳のこと好きだよ!」
「知っとるばい。今日はエイプリルフールっちゃろ。騙されん」
「え・・・」
慌てて携帯を取り出して画面を見る。
そこに表示された日付に呆然とする。
千歳は「俺だってエイプリルフール位わかるばい」と自慢気に笑っていた。
「だから日が悪いって言ってたんや」
「何の話ね?」
「・・・ううん、ごめん。忘れて」
ああ、何て馬鹿なんだろう。
親友の話を聞けば良かった・・・。
私は自分の馬鹿さ加減に涙が出てきた。
振られる以前にエイプリルフール告白するって馬鹿過ぎる。
それから一気に落ち込んだ私は、友人に心配され、先生にまで心配されて早退することになったのだ。
なんて一日。朝の自分を殴ってやりたい。
次の日、気分が優れるはずも無く、体調不良で遅刻すると学校に連絡を入れ、私は家を10時に出た。
通学の道も、だるくて何度もUターンしたかった。
「あー、授業中だなー」
体育をする生徒を横目に、自分の教室を見上げる。
生徒達は授業を受けていて、今の時間は何の授業だっただろうかと考える。
・・・社会だったような気がする。
下足箱から上履きを取り出し、靴を代わりに入れる。これ一つですら億劫だ。
「さん!」
「・・・ち、ちちちち千歳」
予期できるはずも無く、現れた人物に私は上履きを落としてしまった。
「やっぱり、さんだったばい」
「な、な、なんで、ここに居らせられまするのでしょうか」
「体調大丈夫ね?」
「は、はい、はいお蔭ではい」
テンパり過ぎだ私!
「あのな、」
「はいっ!」
「好きったい」
「・・・何が?」
「さんが好きと」
「嘘だ」
「嘘じゃ無か、好きばい」
「知ってるよ。昨日の仕返しでしょ。何も同じようにやらなくてもええや」
律義やなー何て続けようとした口は開いたまま閉じれなくなった。
わたし いま 抱き締められてる 千歳千里に
「嘘じゃ無かよ。エイプリルフールは終わったとばい」
「でも・・」
「昨日のはエイプリルフールだけん言われたっち思ったったい。ばってん、話ば聞いた」
私の親友にってことだ。彼女しか知ってる訳無いんだから。
つまり、私がマジの告白をエイプリルフールにやらかしたことを千歳は知ってしまったのだ。
「あれは、あの・・・エイプリルフールって忘れてて」
「すまんかった。俺、冗談っち思ってから!」
「いや、ええねん。間の悪い女やってん」
「、好きばい」
「嘘や」
授業が終わったようで、生徒達の姿がちらほら見られる。
抱き締められた私に、生徒達は何事だと集まる。これは、まずい。
「千歳、離して。恥ずかしいわ」
「返事聞いとらん」
「いや、せやから私が悪かったから勘弁してや」
「信じとらんとね」
「信じるも何も、エイプリルフ・・・」
「うわっ」と何処からか聞こえた声で我に返る。
「信じてくれたと?」
何度も首を縦に振った。それしか出来なかった。
言葉を発する余裕なんて無かった。
「あいつらチューしよったで」
私は信じられないと思いつつも、それでも確かに千歳の唇の感触を覚えていた。
「好きばい」
「・・・知ってる」
「、好きばい」
「・・・私も、好きです」
「嬉しか」
強く強く抱き締められた。
すきだよ嘘だろすきだよ知ってる
2010.08.31 (企画へ参加させて頂き有難う御座いました!)