ほら、一歩を踏み出せ。
ほら、踏み出さなければ始まらない。
ほら、世界とは思ったよりも広いのだから。
ほら、世界はこんなにも簡単なものだ。
「あの・・・・」
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カン、カン、カン、カン・・・と、警報機の音が聞こえた。ゆっくりと目を開き、周りを見る。
そこは、踏み切りを渡りきった場所で後ろで静かに遮断機が下りていく。
ああ、生かされている。
私にはチャンスが与えられたのだ。
は踏み締めた。その地を。彼等はここには居ない。だけど、感じるのだ。彼等は私を救ってくれた。
慣れた通学路も、どこか新鮮に見えて今まで気付きもしなかった可愛らしい花だとか、小さな傷だとか、兎に角新しい発見が山ほどあった。
「あの・・・」
「・・・」
「ご飯、一緒に食べても良い?」
の言葉に弾かれたように顔を上げた少女は沈黙を返す。は、やっぱりと諦めかけたがグッと拳に力を加え漸く、目的の言葉を告げた。にとって内容など問題では無いのだ。にとって、大切なのは関わること。存在を認めてもらうこと。
「・・・う、うん」
「良いよー、良いよー。ここ座りなよ!」
「・・・ありがとっ」
何故、分からなかったのだろう。
何故、気付かなかったのだろう。
世界はこんなに広くって、世界は私でも簡単に広げることが出来るんだ。
拒絶していたのは周りでは無く、
拒絶していたのは自分で、
己の存在を否定したのも
自分一人だけだったじゃないか。
青い空は眩しすぎて、それでも見つめて「ああ、なんてバカだったんだろう」と空に言ってみる。空は何も言わないけれど、「気付いたなら良いじゃないか」と返されたような気がした。
「、外のお花に水あげてちょうだい」
「はーい」
返事一つでも変わった。そうは改めて実感した。こんなに機嫌良く返事を出来るようになったのは、
「泣くなって」
思い出して泣くなんてイヤだ。どうせなら笑いたい。笑えることが幸せだと知ったのだから。
折角、教えてもらったのだからいっぱい、いっぱい笑いたい。
「・・・ッ」
可愛い花が咲いていたんだな、と庭の草花に水を撒き思った。そんな中、見覚えのある植物に目が止まる。自然な流れで置かれたそれを思い出し、必死に堪えようとした涙は重力に逆らえきれず零れる。
ひっそりと咲いているそれには、小さな青い実をつけていた。
お前が育てろ
お前が必要なのだ、コイツは
堪えきれない涙がポロポロと落ちる。「あら」と母の声がしなければは声を上げて泣いたかもしれない。
「それ可愛い実でしょ?リュウノヒゲって言うのよ。“変わらぬ思い”が花言葉だったかしら」
花言葉ってね実は“呪い”でもあるんですって
にこにこ笑う母は、「そろそろお昼よ」と告げるとをその場に残し立ち去った。
「今の私には最高の言葉だよ、ありがと」
会えないけれど気持ちは同じ、そんな貴方にお礼を言いたかった。だから、届かないと分かっていても言いたかった。
せめて、この空くらいは貴方達の世界と同じ空なら良いのにと願って。
「おい、スネイプ!少しは髪を洗ったらどうだ?少しはマシになるだろうよ。もっとも、その心の中までマシになるなんてことありえないけどな」
「そりゃそうだ!そんなこと天と地が引っ繰り返ってもありえないだろうさ」
「黙れ、ブラック。ポッター」
「黙れ?そいつは無理だな。俺達に沈黙を求めるのはお門違いってやつだ。沈黙を求めるなら“沈黙の少女”でも探すこっ・・・・」
違和感を感じ、シリウスは口を閉ざした。それは周りに居る彼等も同じようでジェームズ、リーマス、ピーターも「あれ?」と言うような顔をしてみせた。そして、セブルスもまた顔を顰め−−いつも以上にと言うことだ−−その違和感の原因を探すように思考を巡らせる。
「沈黙の少女・・・」
「それって、何だっけ?思い出せないんだけど」
「俺も、ここまで来てるのに思い出せねぇ」
「ぼ、僕もっ」
「ふんっ」
これ以上付き合っても無意味だと感じたセブルスは、違和感の正体は掴めないままだったがいずれ思い出すだろうと唸り続ける悪戯仕掛人を残して、颯爽と姿を眩ませた。
呼ばれたような気がして 誰かが見上げた空は とても とても 青かった
繋がっているかもしれない END
07'04.24
パチパチ・・・
(11'01.17 全体的に部分部分を訂正しました)
アトガキ
お付き合い頂き、有難う御座いました。
長いような短いような、10話+1話。本当は10話完結の予定だったのですが予想以上に最後が長くなってしまい11話になってしまいました。ちょっと残念。
ハリポタ連載で初の完結なので、実感は沸かないものの嬉しいです!
この「沈黙の少女が笑うまで」は、最初と最後は考えてあったのでこうやって完結させることが出来たのだろうと思っております。他の作品は・・・ねぇ・・・。
気付いて下さった方もいらっしゃいましたが、この作品は他の小説と比べて書き方が大分違います。そのように心掛けていたのですが、気付いて頂けましたでしょうか?
あるサイト様に影響されて、優しい感じの文を書きたいと思って書いていたのですが少しでもそれが伝わっていたら幸いです。
因みに、最初より最後の方が文章的には私らしくなっており雰囲気は前半の方が気に入っております(苦笑
一番のお気に入りは「笑顔を見たい妖精 一つのキャンディーを」なのです。このタイトルがお気に入りだったりします。この場面は、入れたいなと長いこと思っていたので満足しております。
沈黙の少女が微笑みの女神になるまでの成長を描いたのですが如何だったでしょうか?
最初だけ読めば、なんて暗い話だろうなのですが少しずつ周りの力によって変わっていく少女を読んで行くにつれて分かってもらえたのでは無いかと思っております。(私に少しでも文才があれば、ですが)
ネガティブからポジティブに!そんな気持ちで書き続けた「沈黙の少女が笑うまで」ですが、半年以上かかって漸く完結です!なかなか話が進まずたった11話にこれだけ時間をかけてしまいました。
しかし、そんな私のグータラさにもめげずこの作品にお付き合い下さった皆様には本当に感謝しております。
応援メッセージを頂けたお蔭でこうやって完結まで持って来れました。本当に、本当に、ありがとうございます。
この作品を読んで、少しでも元気になった、励まされた、ヤル気が出た。そんな方がいらっしゃればこれ以上のことはありません。最後の最後までお付き合いありがとうございました! ぼっち