誰かが言ってた。
「大恋愛って良いよね!」
問う。
大恋愛とは何?
恋愛とは?
それよりも、恋とは何ですか?
意味を知らなきゃ始まらない?
「どうした、変な顔してからに」
「変な顔って失礼なんですけど」
「嘘は言っちょらん」
「詐欺師と呼ばれる奴が何を言うか」
ざわざわと騒がしい教室の一角で、自分の席では無いのにさも当然のように私の目の前の席に腰掛ける仁王を鼻で笑って見せた。
仁王は、意味がわっぱり分からない「プリッ」と言う台詞を返した。初めて聞いた時にプリッツを食べたいのか?と、思ったのは内緒だ。
「心配してやりよるんじゃ」
「頼んでませんー」
「可愛くなかよ、」
「ありがとう。知ってる」
「・・・、何か悩みがあるんじゃろ?」
私は視線だけを仁王に向ける。答えはyesと言えるのか自分で分からないのだ。
悩みと聞かれればそうかもしれないが、悩みと呼べるほどのものでは無いとも思うのだ。
これを何と言う言葉で表せば良いのか、全く分からない。難解だ。
「・・・、分かったきに。お前さんの今、考えちょることを言うてみんしゃい」
「この感情をなんという言葉で表せば良いのだろう」
「そうじゃなか。それ以前のその感情の原因を聞かせんしゃい」
「あ、あぁ・・そっちね」
仁王雅治。あだ名は詐欺師。正直、全然カッコ良いあだ名とは思わない。寧ろ、中学生でそのあだ名ってどーなの?って思う。本当にね。
この仁王との付き合いは長いとも短いとも言えない中途半端なところ。同じ中学になって一年目が同じクラス。二年目で離れ、そして三年目の今年。
目の前に居る人間の席はここでは無いのだけど、同じ教室内にはある。つまり、私と仁王は今クラスメイトなのである。
「ほら、さっさと吐いてしまうんじゃ」
「私、悪いことしたみたいじゃない?」
「気のせいじゃ」
「・・・ま、良いや。我は問う」
「良かよ」
「大恋愛とは何ぞや」
「・・・、・・・、・・・」
「恋愛とは?」
「・・・、」
「恋とは何ですか?」
「・・・、」
予想はついていたけど、仁王は僅かに驚きの表情を見せる。一応、隠しているみたいだ。
私は、一つ溜息を吐いた。答えを求めてはいない。仁王が答えるとも思っていない。
ただ、
「恋ってさ、異性に思いを寄せることなんだって。で、切ないくらいに思いを寄せるのが恋らしいけど・・・それって好きとは違うの?」
「意味がわからん」
「好きになった人に恋をするんじゃないの?切ないくらいに思わないと恋じゃないの?」
「なんじゃ、好きな奴でも出来たんか?」
「・・・いや、別にそれは関係ないけど・・居るよ」
「誰じゃ?」
「誰って・・・えっと、う〜ん・・・その・・あー・・・切ないくらいに思いを寄せる相手ってのは、結局のと
「俺にしときんしゃい」
ころはだね、居な・・・、え?」
「俺にしときんしゃい。好きになるのも、切ないくらい思いを寄せるのも」
「・・・告白してんの?」
突然の告白タイムに私は、正直ムードもへったくれも無く本人に告白なのかと確認を取ってしまった。
これは女子としてどうなんだ?ダメなのか?どうするべきだったの?!
そんな私の思いは多分、仁王には届いていない。真剣な表情で口を開く、奴の口から飛び出したのは
「好いとうよ、」
告白でした。
「え・・・、どうも」
「その答えはありえんとよ」
「・・う・・あの、私も仁王のこと好きだよ」
「友人として、じゃろ?」
分かっていると言わんばかりの仁王の台詞と表情。
私は、肩を竦めて首を振る。はっきり、横に。
「異性として」
「本当か?」
「本当。ただ、ね・・」
「なんじゃ?包み隠さず言うてみんしゃい」
「仁王以外にも好きな人は居る。異性として」
「・・・誰じゃ」
意外にも分かりやすい人間だったのだ。仁王雅治と言う人間は。
明らかに不機嫌だ。
こんなに分かりやすい仁王を見るのは初めてかもしれない。
「・・・柳生、ブン太、幸村、柳、赤也にジローに跡部に宍戸、忍足、リョーマに長太郎、観月、千石、亜久津に
「ちょ、待ちんしゃい。その数はどう考えても友人としてじゃろ」
・・・そう思うと思ったのですが、異性としてなのです。そして、同時に誰一人切ないほどの思いを寄せる相手では無いのです」
私は、どこぞの探偵のように人差し指をピンッと立て真面目に言った。
「さて、異性として好きなのに切ないほど好きでは無い。これは恋じゃないんでしょうか?」
私の真剣な質問に、仁王は私を穴が開くんでは無いかと言うほど見ると言う答えを返した。答えになってない!
恋せよ乙女。
じゃあ、その恋を見せてよ神様。
恋って何なのさ。