「だぁ!!止めろっつってんでしょ!」 「なんだー?先輩に対して随分生意気じゃねーの」 「先輩だったら後輩にはもっと優しくするもんでしょ!」 「はんっ、誰がそんなこと決めたんだよ。相変わらず赤也の頭はおめでてーのな」 「潰す!」 「やってみろぃ!」 「ちょっ!ジャッカル先輩!この人ちゃんと見張ってて下さいよ!」 「無理言うな。俺の手には負えねぇよ」 「んじゃ、仁王先輩!」 「面倒事はお断りじゃ」 「柳生先輩!どーなんですか!そのパートナー!」 「・・・仁王君はこういう方ですよ」 赤也に着いてきたお蔭で迷うことなくテニスコートに到着。 私は、上手い具合に木陰の下に置かれたベンチを発見すると「じゃ、楽しんで来てねー」と赤也に手を振りベンチを一直線に目指した。 テニスを始めるのかなって思って見ていると、赤也の叫び声。何事だ?と思って見ていると、どうもあのガムを噛んでばっかりの赤い髪の人がちょっかいを掛けたようだ。 赤也と赤髪の周りにはあっと言う間に人が集まる。・・・青春してんなー。 私は、あんなに青春してたかなぁ?なんだか、自分を曝け出したことはそんなに無いような気がする。 彼らを見ていると凄く・・・羨ましく思っちゃうな。 「さん!!」 「・・・え?」 「この先輩達どうにかして下さいよ!」 「は?・・・なんで私が?」 「だって俺んとこの先輩誰もあてになんねぇし!」 「あ・・・赤也、後ろに・・・」 いつの間にか私の方へ走ってくる赤也に、視線を向けると赤也は軽く泣きそうな表情で助けて求めてくる。 でも、その後ろの人物に気付いた私は赤也にそれ以上は言わない方がと声を掛けるんだけど、 「皆して俺が苦しむの楽しんでるんスよ!ドSばっか!」 「フフッ、よく分かってるじゃないか。赤也」 「・・・・ゆ・・き、村ブチョ・・」 間に合わなかったようで、一気に顔を青くさせる赤也に憐みの目を向けておいた。 引き摺られるような形でコートへ戻っていく赤也は本当に・・・その名前に似合わない真っ青な顔だった。 「ちゃーん!」 「あ、ジロー」 「見に来てくれたんだね!」 「まぁね、約束したし」 「俺のことジローって呼ぶの?皆と一緒?」 「そ、短くて呼びやすいから」 「・・・そっか!」 ジローは一つ頷くと、私の両腕を掴みグイッと引っ張った。私は、「うぉ!」と可愛く無い声あげて立ち上がる。 満足そうに私を見て、「行こう!」と笑顔と共に告げる。 「・・・どこに?」 「あっち!俺らのコート!」 「え・・・やだ」 「なんで?」 きょとんとするジローに、私は少し離れたジロー達の学校が集まるコートを見る。 ほら、あっち凄く暑そう。日陰、無い。・・・無理。 「見て、ここは日陰。風もあって涼しい」 「うん」 「あっち、日陰が無い。暑い。溶ける。つまり、無理」 「・・・うん」 「だから、無理」 「・・・・・」 「ねぇ、ジロー」 俯いていたジローはゆっくりと頭を上げ、私を見る。良い目してるよね、どいつもこいつも。 「ジローの言ってたことわかってきたよ。素敵じゃん」 「・・・・・」 「ジローの学校もね、ここからだけど見てた。ま、近いそこの黄色の集団が一番見てたけど。 でもね、素敵なのは分かったよ。まだテニスしてないけど、皆青春しててさ、楽しそうで、本当に信頼し合ってるんだろうって思った。だから、・・・ちょっとだけね、羨ましいよ、ジローが」 「うん」 「あんな素敵な友達?仲間?最高の誇りだね」 「うん!だから、やっぱり行こうよ!」 そう言うと同時にジローは私を引っ張って、私は特に力を入れていなかったから思わず一歩踏み出してて、パッと振り向いたジローの一言に目を見開いた。 「ちゃんも俺の友達なんだから!」 いつ、友達になったのか・・・そんなことはわからない。 でも、ジローには私は友人らしくて、それを嬉しくないとは言わない。 ただ、私一週間しか居ないんだけどって思ってしまった。 「ここに居るのは一週間でも、友達なのは一生ね!」 「心の中読んだ?」 「読める訳無いC!」 だったら、尚更に驚いた。 「行こう!ね?」 「・・・わかった」 今度はジロー達の学校側へ移動です。 あぁ、気分は変わった。けど、やっぱり日陰が無いのは嫌だなぁ。 ***** 「そんなに暇ならテニスすれば良いじゃないですか」 「え?何ってサラリン」 「・・・そんなにだらけていると牛になりますよ」 「絶対、最初と違うこと言ったでしょ」 「ふんっ」 絶対にサラリンってあだ名が気に入らないんだろうな。 でも、名前覚えてないんだもん。仕方ないじゃんか。 まぁ、確かに日陰じゃないベンチは暑くて、正直暇になってたしだらけてました。 「名前なんていうの?」 「名乗りましたよ」 「忘れたの。だから聞いてるに決まってんじゃん」 「日吉若ですよ」 「ぴよし?」 「日吉!」 「ふーん、じゃあ日吉って呼べば良い?」 「サラリン以外なら何でも良いですよ」 「キノコ」 思いっきり敵意むき出しで睨まれました。冗談に決まってんじゃん。 「じゃあ、日吉か若か・・気分で呼ぶ」 「気分で変わるんですか?俺の名前は」 「別に名前が変わる訳じゃないでしょ」 「・・・もう良いです。で、やるんですか?」 「何を?」 「テニスです」 「・・・見て」 私を両手を広げて見せた。日吉が何だ?とその手を見る。 「私、ラケットもボールも持ってない。そして、テニスやったことなーい」 「ラケットくらい貸します。持っていないのだってわかっています」 「テニス未経験」 「教えます」 「・・・・・日吉って意外にも・・・優しい?」 「さっさと行きますよ」 ・・・おぉ、そして恥ずかしがり屋さんなのか。 |