「往生際が悪い人間って醜いですよ」 「・・・醜くて結構よ。・・・・さらりん」 「さらりん?」 「さらりんの名前よ。名前」 ズラーッと並んだ美青年。ちょっと少年も居るかもだけど。 そんな彼等の正面に立つは一人の女。そう、私だ。 話は遡ること・・・も無いだろう。 「ええやん、頷きぃ」 「イヤだ。黙れ、メガネ」 「お前に拒否権はねーよ」 「あるに決まってんでしょ。黒子」 「お前、滅茶苦茶口悪ぃーな」 「跳ねるなピョン太」 「・・・あのな・・何がそんなにイヤなんだ?」 「全部よ、全部。この状況も、その景品とは思えない景品も!」 一刀両断。正にソレだ。 と、言うより彼等の言葉に耳を傾けるつもりは微塵も無い。ただし、この最後に口を開いたまともそうな青年は別。私は相手の態度をそっくり其の侭返すからね。 誠意ある相手には誠意ある態度を返す。これ・・・・に、忍道?あ!人道。 「あ・・あの、いつまでも『お前』とか呼ぶのも失礼だと思うんですよ。なので、良かったら名前教えてもらえませんか?俺は、鳳長太郎って言います」 「・・・うん、合格」 「え?」 「・・・カモン、長太郎君?」 そう言って、手招きすれば長太郎君は当然のように近づいてきて私の目の前で不思議そうな表情で立ち止まった。そんな、彼の耳元に口を寄せ 「、。長太郎君にだけ教えてあげるよ」 小さな頃によくやった内緒話。それを思い出した。 僅かに耳を赤くする彼に思わず漏れたのは苦笑交じりの微笑み。あまりにも素直な反応が可愛かったから。本人に言うつもりなんて微塵も無いのだけど、ちょっとヒットだよ? 「仁王雅治」 「だから?」 「名乗ったんじゃ、お前さんの名前も教えんしゃい」 「イヤ」 「名乗ったら名乗るのは礼儀じゃ」 「それは、常識人に言えることであんたらみたいな非・常識人には言えないのよ」 ふんっと態とそっぽを向いて言ってやれば「ほお・・・」と銀は呟き、こっちは一切許可を出していないにも関わらず距離はグンッと縮まっている。 待て・・・おい、可笑しい。なんだ、この縮まる距離? 「ストップ」 「無理じゃ」 「・・・っ・・!」 「じゃから?」 「名乗ったでしょ!近づくの止めなさいよ!!」 「・・・仕方ないのぉ。キスしてくれたら止めちゃる」 「完全完璧絶対無理。ってか、なんでしなきゃいけないのよ。私が!」 「与えるのは無理じゃが、与えられるのは良い言うことじゃな」 「言ってない!言ってない!イッテナイ!」 「仁王・・・さん、本題からずれてますよ」 「救世主だ!さらりん!」 「・・・日吉、若です」 滅茶苦茶顔を顰めて、さらりんは本名を名乗った。私はさらりんのままで行くけどね☆名乗られようが名乗られまいが。 ・・・っと、確かにさらりんの言う通り話題がずれている。 「良い?私は絶対に、そのアンタ方の世界には行かない!大体、トリップなんて出来る訳無いでしょ!いつまでもクチャクチャ、クチャクチャとガムを噛むなぁ!ブイ野郎!」 「はぁ?ブイ野郎ってなんだよ!ブイって!」 「自分の髪に聞きなさい。隣の人でも答え知ってるだろうけど」 「はぁぁ?」と不満気な声を上げるブイ(野郎)を完全無視して私はリーダーなんだろうと勝手に判断した黒子を見る。 ニヤリと口の端を上げた黒子は指をパチンと鳴らすと(指パッチンだ!)ヌゥと現れた巨大な人に顎で私を指し「行け」と告げる。 そして、巨大なヌゥさんは私の真ん前で歩を止め、私を一瞬で抱え上げたのだ。米俵のように!(屈辱!) 「諦めた方が良いッスよ。抵抗するだけ疲れるのは燕寿先輩ッスよ?」 「うっさい!天パァ!」 「なっ!人の好意を・・・大体、パァって・・・先輩でも潰すッスよ」 「先輩と思うなら敬え!助けろ!」 「それ無理ッス。俺、燕寿先輩のトリップ賛成派ですから」 「・・・往生際が悪いのは醜いだけだ・・・」 「二回も言うな!しかも呟くな!倍、むかつく!」 ヌゥさんの肩の上で容赦無く暴れて天パァとさらりんに文句を言いまくったのだけど、ヌゥさんは全く平気らしくて平然って言うか・・・無表情だった。 |
俺の名前は「さらりん」じゃない・・・